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アイセック慶應義塾大学委員会トークセッション「経済」

2024/1/12

 講師: JACCCO理事 瀬口清之(キヤノングローバル戦略研究所研究主幹)
 
 アイセック慶應義塾大学委員会のトークセッションにおいて、当財団理事でキヤノングローバル戦略研究所研究主幹の瀬口清之氏が、昨年12月19日に続いて2度目の講演を行いました。今回のテーマは「経済」。教室の都合で日吉駅近くの会議室とリモート参加の学生に分かれ約15名が参加しました。当財団理事で東大名誉教授の刈間文俊氏もオブザーバー参加しました。次回のトークセッション(2~3月頃の予定)では同氏が「文化」をテーマに講演する予定です。

 はじめに、慶應義塾大学の学生2名から、海外から日本に来て日本企業でのインターンに参加する外国人学生を支援した活動についての報告がありました。コロナ禍で中断していた来日インターンを支援する「受け入れ事業」の再建、および、文化や言葉の壁を乗り越えた企業マッチング支援などの活動を通じ、リーダーシップに必要な熱意・信頼・向上心を養えたという内容でした。

 瀬口理事からは、日本人が実践するリーダーシップの特徴として、異なる考え方を持つ人の考えを寛容に受け入れ、円滑なコミュニケーションを促進する能力が評価されていることを指摘。同時に、周囲の人からリーダーとして尊敬される人物の資質として重要な点は、①騙されるリスクを覚悟のうえで人を信じる力を持っていること、②高収入・地位・名誉のためではなく他者のために自己の最善を尽くす高い志を持っていることが重要であるとコメントしました。


 2人の学生がこのコメントを謙虚に受け入れ謝意を表したのに対し、瀬口理事は、「その謙虚さ誠実さこそがリーダーの素質である」と激励しました。

 続いて、瀬口理事が「経済」に関して講演しました。主なポイントは以下の通りです。

 

 経済の言葉の由来は「経世済民」。社会を統治し人々を救うという意味。
 外交・安保では当事者間のゼロサム(どちらかが勝てば相手は負ける)が前提であるのに対して、経済ではウィン・ウィン関係(取引参加者の双方が満足する)が前提。
 米中両国は外交安保の面では対立しているが、経済面では貿易・投資を通じて互いに支え合っている。
 中国経済に目を向けると、足許は不動産市場の深刻な停滞を主因に景気回復が遅れている。長期的な視点から見ると、1980年代から続いてた高度成長期が2021年で終わった。それでも中国経済の成長率は今後も長期にわたり先進国を上回る見通しであり、日本経済がバブル崩壊後に長期停滞に陥った状況とは異なっている。
 現在、外資企業の対中投資姿勢は2極分化している。世界市場で高い競争力を持つ巨大企業は引き続き積極姿勢を保持しているのに対し、競争力が弱い企業は縮小・撤退を余儀なくされている。メディアでは報道されていないが、若い経営者の日本企業の中にはニッチ分野での強みを活かして進出する事例も続いている。
 

 

 講演後の交流会では、和やかな雰囲気の中で、前述の2名の学生を含め、トークセッションに参加した学生との意見交換を実施。「学校の勉強としての経済とは違った、中身の濃いトークセッションだった」という意見が寄せられました。

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